骨折とは

骨折とは

骨折とは骨の連続性が断たれること

骨折とは骨強度以上の外力が加わったために骨の連続性が断たれた状態を呼びます。折れたり、ヒビが入ったり、粉砕した状態です。一般的に健康な骨は、かなり大きな力がかからないと骨折しません。しかし、骨全体が弱っていたり、骨の一部が溶けていたりすると、弱い力でも骨折します(病的骨折)また、健康な骨でも同じ場所に繰り返し外力がかかり続けると骨折することがあります(疲労骨折)
成長過程にある子どもや骨がもろくなっている高齢者は弱い衝撃でも骨折することがあり特に注意が必要です。外部からの衝撃だけではなく、急な運動や使い過ぎ(オーバーユース)で筋肉や靭帯が付着しているところが骨ごと剥がれることもあります。骨が完全に折れると、骨片同士が曲がったり、ねじれたり、つぶれたりと“ずれ”を生じます。この“ずれ”のことを「転位」と呼びます。転位のない骨折を「ひび」あるいは「不全骨折」と呼ぶことがあります

骨折の症状

骨折の症状は内出血、腫れ、熱感、水疱、変形、異常可動性、安静時痛、発熱です。

骨折の症状は、内出血、腫れ、熱感、水疱、変形、異常可動性、安静時痛、発熱です。患部周囲からの出血が皮下に広がり、数週間に及ぶあざ、変色が発生します。転位がある骨折部位は、体表から変形や骨折部での異常な動きがわかりますし、歩けない、動かせないという機能障害も生じます。神経損傷、コンパートメント症候群、脂肪塞栓症などを合併している場合があります。

骨折したらどうなるの?

骨折したら意識喪失、嘔吐といった症状があらわれることもあります。

骨折しているところに痛みや腫れ、患部の熱感だけでなく体温が上昇し下がらないことがあります。外見では患部の変形(曲がるはずのない方向に曲がっている)、関節の骨折では曲げることが出来ないといった症状が診られます。骨が完全に折れてしまうと、皮膚を突き破って骨がみえることもあります。また、胸部などでは普通にしていても痛くないけれど息を吸うと痛みを感じ、検査をしたら肋骨にヒビがはいっていた、など見逃してしまいがちな症状があらわれることもあります。状態によっては意識喪失、嘔吐といった症状があらわれることもあります。

骨折の治療

骨折の治療には保存療法と手術がある

■保存療法

軽度の骨折や疲労骨折の場合は、この保存的治療で対処するケースがほとんどです。
保存療法とは包帯や添え木、ギプスを用いて骨折した部位を固定し自然に骨癒合を待つ方法です。骨はリモデリング機構(骨折箇所を細胞が勝手に治してくれる)が働くため、折れてもいずれは治ります。しかし、骨の断端が大きくずれている場合はうまく付着しないので、手や器具を使って皮膚の上からずれた骨や関節の位置を正しい位置に戻す「徒手整復(としゅせいふく)」を行ってからギプスなどで固定します。

■手術

重度の骨折は整復してもすぐに元に戻ってしまうため手術を行います。手術的治療にはいくつかの方法がありますが、骨折の状態や折れた部位などから総合的に判断されます。

骨折と捻挫の違い

骨折と捻挫はレントゲンで見ると違いがある

骨折と捻挫の大きな違いは痛みにあります。骨折で生じる痛みは捻挫や打撲、脱臼の痛みとは明らかに違った痛みが発生します。また骨折した際には安静時痛や発熱、水疱が患部付近に発生しやすいのも特徴です。
また悪寒や吐き気を訴える方もいらっしゃいますし、部位によっては、近くに存在する神経が刺激を受け、手足の脱力やしびれなどを生じることもあります。

骨折の種類

たくさんの種類の骨折がある

■骨折を分類すると外傷性骨折、病的骨折、疲労骨折の3つに分かれます。
・外傷性骨折➔正常な骨に外力が加わり損傷したもの
・疲労骨折➔過度なスポーツの繰り返しで、徐々に骨にダメージが蓄積して損傷したもの
・病的骨折➔病気のために、本来であれば骨折しない軽度な外力で損傷したもの

■骨折の折れ方を分類
・横骨折
・斜骨折
・らせん骨折
・粉砕骨折

■骨折部と外界との関係による分類
・開放骨折(複雑骨折)➔皮膚が破れ骨折断端が露出した状態
・皮下骨折(単純骨折)
・不全骨折➔ひびが入った状態。

骨折ランキング

当院の骨折の部位別ランキング1位は腰椎分離症・すべり症です。

当院の統計による骨折ランキングをご紹介します。

【第1位】腰椎分離症・すべり症
サッカーやバスケット、ハンドボール、陸上などの球技に多く見られ、体幹を回旋した際に腰部に痛みが発生します。腰椎分離症からすべり症に発展するケースがありますの無理に動かさず、安静を保ちましょう。氷のうや濡れタオルなどで患部を冷やすと、腫れや痛みが和らぎます。長時間激しい痛みが続く場合や、だんだん腫れや痛みがひどくなる場合は、骨折が疑われるため、必要に応じて医療機関を受診しましょう。

【第2位】指・趾骨骨折
格闘技やラグビー、剣道、バスケ、陸上に多く見られます。足を踏まれた、ボールがぶつかった、などで骨折します。

【第3位】肋骨骨折
サッカー、格闘技などのコンタクトスポーツに多く見られ、痛みや息苦しさ、吐き気などの症状が挙げられます。肋骨骨折を併発しやすいので注意が必要です。痛みで寝返りができない、身体を少しでも動かすと痛いなどの症状が1週間以上続くようなら医療機関を受診して下さい。肋骨や胸骨を骨折していると、呼吸困難に陥ったり、血痰(けったん)が出たり、脈拍が乱れたりする場合もあります。

【第4位】手首骨折
ラグビー、アメフト、柔道、サッカー、バスケ、ハンドボールに好発します。手の感覚・知覚・運動障害などの症状がみられます。手首の変形が目立つのが特徴ですので、速やかに医療機関を受診して下さい。

骨折と骨挫傷の違い

骨折と骨挫傷は違う

骨が外力によって折れることを完全骨折といい、骨にひびが入った状態を不完全骨折、不完全骨折まで行かない状態、つまり骨の内出血をおこしている状態が骨挫傷です。
※レントゲンやCTで異常は発見できません。
症状は、局所の激痛、圧痛、運動時痛、腫脹、内出血など。

骨折の見分け方

骨折は見分けられる

「曲がるはずのない方向に曲がっている」「今まで感じたことがないくらいの痛み」「こんなに腫れるっけ?と思うくらいの腫れ」「関節が曲がらない」「患部が熱い」など感覚や見た目でわかる症状があれば骨折を疑います。しかし中には、「我慢できる痛みが長く続く」「腫れているのか熱があるのかよくわからない」といったこともあります。ただの打撲や使い過ぎと思わずに、痛みが長く続くなど異変を感じたらすぐに病院や整骨院など専門家を受診します

1、強い痛み、腫れ、圧痛、熱感、安静時痛
2、悪寒、吐き気
3、発熱
4、まわりに皮下出血があり腫れている
5,骨が動くのがわかる
6,水疱が発生
7、脈うつような痛み

応急処置

骨折したら応急処置が重要

鉄棒や跳び箱から落ちた、バスケット中に誰かとぶつかって転倒した、自転車に乗っていて車にぶつかった、色々なシーンで骨折をする可能性があり、そのような時に必要なことは、いかに迅速に応急処置ないし救護活動が出来るか、ということです。しかしながら、ケガの程度が重症であるほど間違った応急処置は以後の治療や後遺症に影響してくるので普段からしっかりと身につけておきましょう。消防署や赤十字の応急救護講座などに出席してみるのもいいですね。

ここでは簡単に基本のRICEを紹介します。

まずはケガをした方と自分の安全を確保します。ケガをした場所によっては屋外かもしれません。周囲に人がいるようならば協力してもらい、自分ひとりの場合でも焦らず最低限の安全確保につとめます。

R・・・体を休めます。出血を認めるケガの場合は、化膿を防ぐために流水で傷口を洗浄し、清潔なタオルなどで抑えるようにふきます。

I・・・ケガをしたところを冷やします。15~20分冷やす➔患部の感覚がなくなってきたら外す、を数回(24~72時間)繰り返します。氷嚢などを使いますが冷やしすぎないように注意しましょう。皮膚にキズなどの変形があるとき、冷却剤は使用しないでください。

C・・・傷口からの出血や内出血、筋組織の炎症を防ぐために圧迫しながら固定します。

    氷嚢ごと固定してしまっても大丈夫です。

    ただし、関節の固定や骨折のおそれがある場合は専門家の指示を仰いでください。正しい位置に固定しないと関節がはずれてしまう(脱臼)ことや、骨が曲がってくっついてしまうおそれがあります。

E・・・ケガの部位を心臓よりも高い位置にあげます。

※骨折を疑うくらいの症状の場合は早めに救急車を呼ぶなどしましょう。

骨折全治

骨折が全治するまで数ヶ月かかる

折れた骨がある程度結合するのは約4~6週間、完全結合は約2~3か月です。骨折の程度や部位で変わってきますが、年齢、栄養状態、基礎疾患、整復・固定の正確さ、手術の正確さによっても変わります。

骨が結合する目安の時期になっても骨が結合しない(偽関節)、また、ゆっくりと結合過程が進んでいる(遷延癒合)が見られる場合があります。これらの原因は整復が不正確だった、血流障害による栄養不良などが考えられ、完全結合までさらに時を要します。

骨癒合は骨折部位や年齢によって異なりますが、おおよそ肋骨で約3週間、鎖骨で約4週間、上腕骨で約6週間、大腿で約8週間、大腿頸部で約12週間です。

骨折ギブス期間

骨折のギブス期間はおおよそ4週~8週目安。

ギプスの装着期間は骨折部位や年齢によって異なりますが、おおよそ4週~8週を目安にします。

ギブスをしていて治療ができない
骨折でお困りなら酸素カプセルがおすすめ

骨折に酸素カプセルが有効的。

早期に治したい軽度~重度の骨折。だが、整形外科では治療はしてくれないでお困りのあなたは「酸素カプセル」の存在をご存知だろうか?
我々が普段取り込んでいる「酸素」はヘモグロビンと結合して末端組織に運ばれます。これを「結合型酸素」といいます。この末端組織に「結合型酸素」を運ぶにはいくつかの障害があります。
・ヘモグロビンに結合できる酸素は限られていて多くは運べない。
・一つは毛細血管から細胞に侵入しずらい。
これらのことから「結合型酸素」は細胞に栄養を運びずらい一面があります。「結合型酸素」とは逆に、末端組織に溶け込んで運ばれる「溶解型酸素」があります。
これは「結合型酸素」よりも小さい粒子の酸素になります。
「溶解型酸素」は上記で説明した「結合型酸素の障害」を乗り越えることができます。
普段の酸素吸入だけでは体に摂り込むことが不可能な「溶解型酸素」を酸素カプセルで吸入できるのです。 つまり酸素カプセルは「溶解型酸素」を作り出し酸素供給度をあげる治療機といえます。
骨折の癒合には「酸素」が不可欠なのです。

骨折放置

骨折を放置すると変形治癒する

骨折を放置すると慢性痛を引き起こしたり変形治癒します。変形治癒は骨がズレて癒合する状態です。変形治癒した患部が関節付近だと可動域制限が生じ曲げ伸ばしできなくなる可能性があります。

整骨院で骨折の治療はできるの?

整骨院で骨折の治療は医師の同意の元おこなえる

整骨院では「医師の同意」がない限り、骨折・脱臼の治療はできないことになっています(応急処置の場合は医師の同意は不要です)。

そのため、当院では骨折や脱臼が疑われる方について、必要な処置後に病院の受診を促しています。

骨折の早期治癒には酸素カプセルが大変有効です。酸素カプセルに入っていただくことで血流がよくなり高濃度酸素と栄養素が体の隅々にいきわたることで、骨同士の結合が早くなります(酸素カプセル 一般 2,200円/回、学生 1,650円/回、お得な回数券もあります)。

なお、病院での治療終了後のリハビリに不安がある方にはリハビリの指導、筋肉や関節の運動制限が気になる方の相談もうけたまわっています(ただし、健康保険は使えません)。

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