バーナー症候群とは?
コンタクトスポーツや各種格闘技で、頭部や肩に強い衝撃を受けた瞬間に、頭部から上肢にかけて焼け付くような痛みをともなったしびれをきたす。
原因と発生機序
バーナー症候群の発生メカニズムは、腕神経叢の過伸展による損傷、神経根の椎間孔におけるインピンジメント、頚椎症性神経根症、直達外力による神経障害がある。この4つのメカニズムにより腕神経叢や神経根、脊髄などにストレスがかかり、頸部から上肢への放散痛が生じる。
(1)腕神経叢の過伸展による損傷
肩からタックルした際や、転倒して肩から落ちた際に、肩と頭頸部が反対側に引き伸ばされることにより腕神経叢に牽引力が生じ、上肢への放散痛が生じる。
(2)神経根の椎間孔におけるインピンジメント
頚椎が側屈されたのと同側の上肢への放散痛が生じる場合は、側屈した側の神経孔が狭小化し、その中を通っている神経根が圧迫を受けたため放散痛が生じる。
(3)頚椎症性神経根症
コンタクトスポーツプレーヤーには、頚椎に反復したストレスがかかるため、頚椎症性変化を認めることが多い。その中でも頸椎椎間板ヘルニアの頻度が高い。
頚椎にこのような変化がある上に、さらに頚椎に側屈のストレスが加わった場合に、頚椎症性神経根症が発症する。頚椎症性神経根症では、神経根を刺激するため、上肢にかけて放散痛が生じる。
(4)直達外力による神経障害
鎖骨下を走行する腕神経叢が直達外力により損傷を受け、上肢にかけて放散痛が生じる。
具体的には腕神経叢部への相手選手の肘や膝でのコンタクト、ホッケーやラクロスのスティックによる腕神経叢への外力、アメリカンフットボールのタックルの際にショルダーパットに外力がかかり腕神経叢を圧迫することなどが挙げられる。
症状
頸部から上肢にかけて、しびれや焼けるような痛み。多くの場合は痛みやしびれはすぐに消失し、そのままプレーが続行できる。回復に数週間~数ヶ月を要する場合もあるが、最終的には知覚、運動ともに回復し、後遺症が残ることは少ない。
青森市さいとう整骨院の治療法
■整形外科の受診が必要となる場合
①エコー(画像診断装置)で骨折、脱臼の疑いがある場合
②悪心、嘔吐、頭痛、めまい、ふらつきなど随伴症状があるとき。
③下肢にかけてしびれや運動制限があるとき。
④再発を繰り返す
※整形外科を受診する際には、X線とMRIが整っていれば望ましい。
■治療法
X線で骨折等の所見を除外した上で、筋緊張緩和や鎮痛を目的としておこなう。
①痛みのためにかなり可動域制限がされている場合。
頸肩部の緊張した筋肉や頚椎神経孔に超音波や干渉波を通電する。
②急性期を過ぎて頚椎の可動域がある程度保たれてきた場合。
斜角筋の緊張が発生しやすいためにマッサージで緩和させる、場合によっては深層筋の緊張も想定させるためハイボルテージを使用する。
■治療効果
バーナー症候群は神経根症状は比較的早期に消失し、その後に頚椎の運動痛が消失する経過になりやすい。頚椎捻挫に比べ競技復帰には時間がかかるが、予後は良好である。
しかし、握力の低下など筋力低下が回復しない場合は、不良である。
■症例
高校1年生、男子
競技名:ラグビー
診断名:バーナー症候群
主訴:3日前にラグビーの練習中に正面からのタックル頸部を右後斜屈するような形になり、頸肩背部電撃様の痛みが走り、数分後消失した。翌日、右肩から上腕にかけて鈍痛が残ったため整形外科を受診したところバーナー症候群と診断された。頚椎カラーと筋力強化をおこなっていたが症状が緩和しないために、さいとう整骨院に転院した。
初診時の陽性所見:スパーリングテスト陽性、右肩外転筋力低下、左右の握力差が認められた。C4/5間―C5/6間に超音波と干渉波、ローテーターカフにハイボルテージをおこなって経過観察した。
<治療の経過>
初診時は超音波と干渉波で鎮痛を抑制。
初診2日後は後屈と回旋ができるようになったが右上肢の圧痛が残存。
初診5日後、可動域は回復したが右上肢の圧痛が少し残っていたため、引き続き物理療法を施した。上肢の筋緊張緩和のためにマッサージして経過観察とした。
初診7日後には可動域も圧痛もなく治療終了とした。
バーナー症候群でお困りの方は「青森市さいとう整骨院へご相談下さい」